税理士はお客様の用心棒になるべき

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たまにですが、お客様から

「**に行くから、ついてきてください」

と言われ、一緒にお出かけすることがあります。

※出かけるといっても、遊びではなく、仕事で、です。

税理士が、お客様と一緒に外出することは、多くないかもしれません。
ですが、ご一緒するからには、お客様を一生懸命、お守りしなければなりません。

そして、お守りするためには、剣術の修行(=税金知識のインプット)だけでなく、話術の修行(=話し方でお客様と相手先の双方にご納得頂けること)を、学ばなければなりません。

※皇居沿いの某ホテルからの眺め。

税理士がお客様と一緒に外出する場合とは?

税理士がお客様と一緒に外出する、という機会は、あまりないと思います。

あるとしたら、

  • 銀行融資のために一緒に銀行に行く
  • 社長様と一緒に税務署に説明に行く

といったことになるでしょうか。

ですが、お客様に求められれば、税理士はどこまでも付いて行くべきです。
そして、ご一緒する場合は、お客様の「用心棒」になるべきです。

私が、お客様とご一緒して、印象的だったのが、次のような場面です。

※守秘義務の関係で、少し事実を変えています。

地方の資産家のご自宅に伺った思い出

東京から約1時間半くらい電車に乗ったところに、その資産家のご自宅はありました。

その方は、一代で財をなした方で、自宅の門構えは、浅草の浅草寺?のように、立派でした。

門をくぐって敷地内にに入ると、ご自分の銅像が建っていて、ちょっとびっくり。

※銅像って、ご本人がお亡くなりになってから建てるもんだと思ってました(^^)

(あまり詳しくは言えませんが)こちら側が持っている資産を、相手側に買って頂きたい、という趣旨で、相手側のご自宅にお邪魔した、というシチュエーションです。

色々と雑談をしている最中に、ずっと正座。
これは、地方のお客様に会うときは、大切です。

「足を崩してくださいよ」

と、相手先様はおっしゃいますが、そこは、税理士であればやせ我慢してくださいね(>_<)
※最後、しびれて数分間立てなくなって、皆様に笑って頂いたのは、いい思い出です。

そのとき、相手先様が、税金の質問をされてきました。
※当然、相手先様にも、顧問税理士がついています。

「うちの税理士先生は、こんなことを言っているんだけど、これって本当に合っていますかね~?」

という内容のご質問でした。

※相当の地代、新築時の建物の固定資産税評価額の考え方といった、ちょっと難しい質問でした。

それを、きちんとお答えすると、相手先様からは、

「ありがとうございます!すいません、うちの税理士先生に、いまお話し頂いたことを伝えて、もうちょっと調べてもらいます!」

として、大変感謝されたました。

そのときの、私側のお客様の顔が忘れられません。

※私が勝手に感じたのは「うちの先生、物知りでしょ~」という、ドヤ顔?をされていらっしゃいました。まあ、私の勘違いかもしれませんが(^^)

このときは、私も、達成感があり、「やったね!」ということだったのですが、実は、その後に、少し失敗しています。

本来の目的である、その資産の売買について、実際の価格交渉となりましたが、そのとき、相手先様が、

「この資産の詳細な資料はありますか?」

と、おっしゃいました。
私も抜かりなく、その資料を準備して持って来ていたので、すぐにカバンから出して説明したのですが、後日、お客様からは、

「石橋先生~。あの資料は、もうちょっと、じらして出して欲しかったなぁ。価格交渉って、そういうものなんですよ。直ぐに出すと、売りたくて売りたくて、仕方がないって、相手が受け取るじゃないですか~」

とのご指摘を受けました。

これには、私も大変考えさせられました。

用心棒は、剣術(=税金の知識)だけを学んではダメなんです。
相手によっては、刀を抜くだけでなく、「うっかり八兵衛」さんのように、話術(=話し方、交渉術)も学ぶ必要があるんです。

※そうでないと、相手を斬りつけてばっかりになってしまいます(^o^)

ですので、これ以後は、八兵衛さんの要素も取り入れるべく、頑張っています。

※夜の東京駅にて。

若手銀行員を泣かせた上司の思い出

銀行担当者についても、色々な思い出があります。

「銀行担当者ごとに、違いはあるのか?」の記事にも、一部書いています。

以前、ある場所(会議室のような場所です)で、私、お客様、銀行担当者(3名)、その他関係者1名の計6名が会う機会がありました。

※この打ち合わせ、実は2回目で、1回目は都心のあるビルで打ち合わせをしていました。

この2回目の打ち合わせの趣旨は、

「1回目は、若手銀行員に説明を任せていたので、ラチがあかない。今度は、オレ(若手銀行員の上司。定年間際)がビシッとなめられないように、お客様に説明するぞ!」

といったものになります。
※怖いですね・・・(-_-)

お客様とは、現地に直接集合になっていたので、その場所に電車で向かいました。

私は、いつも早めに向かうようにしていています。
その日も、目的地には、20分くらい前に着くように電車に乗りました。

そうすると、何やら大きな声が聞こえます。
そして、この声、どこかで聞いたような気がします。

振り返ると、本日会う予定の銀行員3人組でした(-_-)

上司(50代後半で、いかにも銀行員といった感じで、ポマードで、薄めの髪をがっちり固めている人)が、20代後半の部下を、大きな声で叱責しています。
※電車のなかで、やめて欲しいですよね・・・。その社員の方も、目に涙をためていらっしゃいました・・・。

上司に怒られて涙ぐむ。
これは、社会人であれば、誰しも経験していると思います。
(私なんか、涙ぐむどころか、泣いてばっかりでしたよ(T_T))
ですが、しかる場合は、他人が見ていないところ(例えば社内)で、するべきですよね。
その若手社員のプライドを傷つけることにもなりますから。

ですが、このやり取りを聞いていて、私は、

「これから、この人達と話すのか~。正直、嫌だなぁ」

と、瞬間的に思いましたが、電車を降りて目的地に向かう途中、

「この調子で、借入金の返済を強く迫られたら、お客様もまいってしまうだろう。私が間に入って、なんとか、納めるしかないな!」

と、歩きながら、切り換えることができました。

※目的地への道中、その3人組に会わないように、回り道しましたが(^^)

無事に、用心棒として、3人組の浪人?から、お客様をお守りできたことは、報告しておきます・・・。

たまに、「なぜ、気持ちを切り換えることができたのか?」と、当時を思い出して、考えることがあります。

なぜだったんでしょうか?
自分でも、理由が分かりませんが・・・、

真の用心棒になるためには?

「用心棒」のイメージは、色々あるでしょう。

一番イメージしやすいのは、「暴れん坊将軍」や「水戸黄門」で、最後に出てくる、悪人側の用心棒ではないでしょうか?

最後、悪事がバレて、松平健さん(将軍様)が商家に乗り込んでくる。
そこで、悪い商人が、

「せんせい!せんせい~!お越しください~!」

と叫び、悪い顔をした、凄腕の浪人が刀を抜いてくる。
あんな、イメージです。

まあ、最後は、健さんに、峰打ちでやられてしまうのですが・・・。
※暴れん坊将軍の将軍様は、基本、峰打ちでやっつけています。周りの忍者?はバンバン、小刀で刺していますが。

ですが、あれはドラマだから悪そうなのであって、江戸時代の本物の用心棒は、盗賊から蔵を守る、お金持ちが移動する際に警護する、といったような仕事をしていたようです。

昔の用心棒は、剣術だけ(=税務の知識だけ)で良かったのかもしれません。
ですが、時代の流れとともに、話術(=弁が立つ)ことも、必要になってきました。

私の勝手な想像ですが、江戸時代、話術が上手い用心棒ですと、

「あいつは、おべっかばっかり使って出世しやがって。世渡りが上手いやつよのぉ~」

と、他の用心棒や浪人から、陰口をたたかれたのかもしれません。

ですが、この現代。
お客様には、色々な相手(例えば、強引な勧誘をする不動産屋)が、辻斬り?しようと、お客様の前に立ちはだかります。
それらから、お守りするためには、剣術(税務の知識)だけではいけません。

税理士もお勉強ばかりでなく、色々な経験をつみ、真の用心棒になるべきです。
私も、もっともっと精進したいと思います。

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