よく、「オレは運が強いんだ!」「私は運が強い!」という方がいますが、少し前まで私は、
「ほんとにそんなプラス思考になれるのだろうか?」
と考えていました。
しかし、私自身、「オレは運が強い」と考えることができる出来事があったので、それについて考えてみたいと思います。
※入院直前に測った体温計の温度
妻の体調不良
昨年(2020年)の秋頃、 妻が突然病気になりました
詳しい病名は伏せますが、生死にかかわる病気であったことは事実です。
※コロナではありません。また、人にうつす病気でもありません。
木曜日に仕事から帰った時に頭痛を訴え、金曜日の朝には熱が39.5°になっていました。
仕事を休み、金曜日、土曜日、日曜日と、三日連続、お医者様に行きました。
いずれも、「単なる風邪でしょう。安静にしてください」
と言われ、解熱剤だけもらって、そのまま返されました。
ただ、様子が普通じゃないんですよね。
トイレに行くのも精一杯で、這うように行ってましたから。
日曜日の夜、かなり体調が悪そうなので救急車を呼びました。
ですが、救急隊員がこう言うんです。
「これだと、病院に行っても入院できないかもしれませんよ。
病院に連れて行くことは可能ですけど、入院は確約できませんよ」
と言われ、
「え~~、なんでそんなこと言うんだ。こんなにひどい状態なのに!」
と思いました。それを聞いた妻は、
「そうであればご迷惑お掛けしてはいけないので救急車から降ります」
と言い、その日は、体調が悪いながら自宅に戻りました。
そして入院
翌日の月曜日、妻の体調はさらに悪化し、熱も40.5度になりました。
その他にも、体のいたる所に不調のサインが出て、
「断られるかもしれないけど、救急車をもう一度呼んで、病院行こう!」
そう妻を説得し、もう一度救急車を呼びました。
救急車内では、「A病院(大学病院)」と「B病院(中規模の病院)」どちらが受け入れ可能か、無線で確認しています。
私は、それを聞いて、しつこく「A病院で!Aでお願いします!」と訴えかけました。
※A病院の方が施設が上なのです。
それが功を奏したのか分かりませんが?A病院に行くことが決まりました。
入院後、救急外来のベッドで診察が始まりました。
※昼頃から内科、皮膚科、その他色々な科目の医師が診察に来ました。
ですが、入院できずに返されそうな雰囲気なんですよね。
お医者様には何度も、
「とりあえず入院させてください!」
とお願いしていましたが・・・。
ところが、夕方に事態が急変します。
私がトイレに行っている間に、妻が緊急病棟の病室からいなくなっていました。
「どこに行ったのですか?」
と係の人に聞いても「ここで少々お待ちください」と言わるだけで、約1時間ほど待ちました。
集中治療室への移動
時間は午後5時頃でしょうか。
「石橋さん、○○階のフロアに今すぐ行ってください」
と言われました。
行くと、そこは集中治療室のエリアでした。
私が到着すると、男性医師3人が待っており「別室でご説明したいことがあります」とのことでした。
医師はこう言います。
「いいですか、落ち着いて聞いてください。奥さんはとても重い病気にかかっています。どれくらい重いかと言うと、病気を1段階から10段階まで表すと、この病気は10です。いますぐ、奥さんの家族を呼んでください」
晴天の壁例とは、このようなことをいうのでしょうか。
※一番偉いお医者さんも「晴天の壁例でしょうか、一緒に頑張りましょう」とおっしゃっていました。
その場で、妻のお母様に電話しました。
お医者様も、電話口で説明してくれました。
※そこでのやり取りは、生々しいので省略します。
そこで説明されたことは次のようなものです。
- この病気は急速に進行すること
- この一週間が山になること
- 良くなったり悪くなったりを繰り返すこと
- 血圧が低下してくるので、呼吸ができなくなるかもしれないこと
- 呼吸が低下したら人工呼吸器を装着するかもしれないこと
- 人工呼吸器を装着したら話せなくなること
とりあえず、保育園に娘(当時2歳6ヵ月)を預けていたので、引き取りに行かなければなりません。
一旦家に帰ることとし、タクシーで娘を迎えに行きました
※当日、保育園から自宅に帰る途中、タクシー内の写真をとりました。結果が良くても悪くても、この日のことを忘れないために。
寝れない日が続く
娘を引き取り、自宅に帰りました。
スマホで、医師から言われた病名を検索すると「致死率2割から5割」みたいな記事が複数でできました。
また医師が書いた学会論文を見ると、なんとか助かった例、助からなかった例がいろいろあり、さらに気分が重くなります。
お医者様からは
「呼吸が落ちてきたら人工呼吸器をつけなければなりません。人工呼吸器をつけると話ができなくなるので、つける前に電話します。また容態が急変したらその時も電話します」
と言われていました。
スマホの着信音を最大限にして、枕元に置いて寝るようにしました。
娘を寝かしつけなきゃいけない、病院から電話がかかってくるかもしれない、
そんな状況だと、まあ眠れませんよね。
とりあえず、1日目と2日目は、自分一人で頑張ったのですが、なにせ2歳6ヶ月になる娘がいます。
昼間は保育園に預けているのですが、夜、自分が倒れてしまったら、娘が飢え死にしてしまうかもしれません。
そう思い、3日目からは近くに住んでいる実家の両親のところに身を寄せました。
そんななか、私は恥を忍んで、あるお客様に電話しました。
そのお客様は、ある病気の専門医で、偶然ですが、この病気にとても詳しかったのです。
その先生には、お電話で40分ほど相談に乗っていただきました。
そうしたところ、
「石橋先生、大丈夫ですよ。その病気(※コロナではありません)は確かに高齢者にとって怖い病気ではありますが、奥さん、お若いんですよね。だから大丈夫だと思います。それに、奥さんが入院された病院は、医療体制が整ってますし、専門医もいますから。
この病気は急速に悪くなりますが、山を越えれば急速に良くなるのが特徴です。
もしかしたら1ヶ月後はピンピンしてるかもしれませんよ。
○○病院は、大きな船です。ちょっとやそっとで沈みません。
今、石橋先生には大きな嵐が来てますが、この船(病院)なら、その嵐にも耐えられると思います。
大きな船に乗ったと思って、強い気持ちを持ってください」
本当に有り難いお言葉を頂きました。
私は「強い気持ちを持たねばならない」そう思いました。
※繰り返しますが、コロナではありません。
※不安な気持ちで娘と食事をしていました。
人工呼吸器の装着
病状は一進一退を繰り返しましたが、入院4日目の夜8時頃に電話が鳴りました。
「奥さんが呼吸ができなくなってきました。今から人工呼吸器を急いでつけなければなりません。今すぐ病院に来れますか?」
私は
「行きます。30分以内に行きます!」
と伝え、娘を母に預け、急いでタクシーに乗りました。
電話から20分以内に病院に着いたのですが、すでに人工呼吸器が装着されていました。
お医者様から聞くと、呼吸が本当に落ちてきて、急いでつけざるを得ないとのことでした。
この状況で、 妻のお母さんに電話をしました
お母さんは安心して、3日目の夜に、安心して田舎に帰っていたのですが、急遽またお母さん来ていただくことになりました。
そして秘密にしていた、奥さんのお姉さん妹さんにも、 深夜にお電話して、可能な限り来ていただくことになりました。
回復の兆候
しかし、入院してから6日目になり、少し血圧、呼吸とも上がってきました。
前日に投与した、新しい薬が効いたというのです。
肺に人工呼吸器が入っているので、まだ会話はできませんが、本人の意識も少しずつ戻ってきました。
その後は、急速に回復し、入院から1か月後に無事に退院できることになりました。
退院後の定期検診で、治療にあたったお医者様に聞きました。
「実際のところ、生存確率は何割ぐらいだったんでしょうか?」
そうしたところ、
「う~ん。五分五分でしたかねぇ。急速に進行してましたからね。でも、助かって本当によかったですね!」
この病気は後遺症もあるのですが、現在のところ後遺症もなく、元気に暮らしています。
本当に良かったと思います。
厳しい状態から学ぶこと
私を含め、税理士は、普通の人より恵まれた環境で育ってきている人も多いと思います。
ですが、恵まれているか恵まれていないかは、体験してみないと分かりません。
今回、たまたま妻は助かったから良いものの、これで亡くなっていたらと思うと・・・。
交通事故や病気で奥様を早くに亡くされた方がいらっしゃいます。
そのような方々のニュースは、私にとって他人事でしたが、急に親近感がわくようになりました。
「妻が亡くなったら、私一人で、娘を育てきれるのだろうか?」
その思いを抱え続けた2週間でした。
ただ、この出来事から
「オレは運が強い」
と思えるようになりました。
- 税金計算で間違えた
- お客様にクレームを言われた
- 届出書の提出を忘れた
- 特例の適用を忘れた
- もっとこうすればよかった
開業税理士なら、仕事で悩むことが多いと思います。
ですが、(すくなくとも私にとっては)これ以上の出来事は起きないと思います。
「五分五分と言われた妻の命が助かったんだから、少々ミスしても大丈夫だ!」
と考えることにしました。
※もちろん、ミスのないように、しっかりとお仕事をしています。
あくまで、もののたとえですので(^^ )
人生、色々な経験をしますが、逆境に接して、それを乗り越えたら、こう思うようにしてください。
「オレ(私)は運が強い!」と。
今日も頑張って行きましょう!