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相続税を勉強するために最適な本とは?

「相続税を勉強したい」
「相続税をもっと詳しく知りたい」

近年の「相続ブーム」で、相続税に関する本が多く出版されています。

ですが、広告宣伝目的で出版されている中身が薄い本もたくさんあります。

これまで相続税関係の本は大量に読んできました。そのなかで、

「この本はいい本だ!」

と感じた本をご紹介できればと思い、まとめてみました。
相続税実務をこれから学びたい、既に実務をしているがもっと詳しくなりたい、という方々の参考になれば幸いです。

※何か間違っている?外国人観光客。

相続税の論点は大きく分けて3つある

相続税の論点は大きく分けて、

という3つに絞られると思います。
※もちろん、他にも色々あるのですが・・・。

この3つの論点ごとに、私なりに感じた良書をご紹介していきたいと思います。

財産評価

相続税を勉強する際は、まず「財産評価」を勉強する必要があります。

※財産評価とは、その名の通り、「この財産、いくらになるのかな~」と、鉛筆なめなめ計算ることです。

なぜ、最初に財産評価を計算する必要があるのでしょうか?

相続税の計算は、まず、「財産がどれくらいあるのか?」ということを知る必要があります。
※それが分からないと、そもそも相続税がかかるのか、遺産額が大きすぎるので自分の手には負えない、といった判断がつかないからです。

その「財産評価」の教科書的な本として、次の本が挙げられます。

この本は、(税務署OBの税理士先生ではなく、民間の税理士先生が書かれているにも関わらず)税務署内にも置いてあると聞きます。
その意味で、「教科書的な本」といえるでしょう。

この本の凄いところは、全て「根拠に基づいて書いておられ、間違いがない」ということが挙げられます。

とにかく文字量が多い本なので、いちいち根拠(判例、裁決例、税務署からの情報)は書いてありませんが、全てきちんとした根拠のもとに書かれています。

ただ、この本を買って読むだけでは理解出来ません。
(難しい内容が多いですから)
その場合は、この本を書かれている先生のセミナーに参加されることをオススメします。
※著者の先生は大変有名な方で、全国をセミナーで飛び回っていらっしゃいますので。

ところで、税理士にとっての教科書的な本が他にもあります。
例えば、次のような本は、どの税理士事務所にも置いてあります。

この本も大切です。税務署の職員さんが書いていて、いわば税務署の「公式見解」だからです。ですが、細かな内容を全て網羅していません。

以前、私が税理士事務所に勤務中に、難しい相続税計算を担当することになり、上司の先生に、

「相続税は難しいので、本が足りません。追加の本を買わせてください」

とお願いしたら、上司の先生は、

「本(大蔵財務協会の本)は、あるじゃないか!なんで、ムダな本を買うんだ。相続税は簡単だろう?ただ財産を集計するだけなんだから。本なんて、追加で買う必要ない!」

と言われ、ヘコんだことがあります(-_-)

※まあ、私が独立して暫く経ちますが、振り返って考えてみると、残念です。ただただ残念な気持ちが思い出されます・・・。

ですが、財産評価は「事故」が多い事項でもあります。

というのも、特に土地評価が多いんですが、ある土地を計算したら、

というように、「財産評価」の結果が大きく違うことがあるんです。

税理士先生によっては、そのような間違いを積極的に発見する仕組みを作り(例えば営業社員を雇う等)、その納税者に間違いを伝え、相続税の還付(更正の請求)を行っているところもあると聞きます。
※これは同業者の税理士先生の仕事の間違いを発見することなので、この業務を積極的にするかしないかは、各先生方の考え方にもよるでしょう。ちなみに、私は積極的には行っていません。

ですから、財産評価をまず学ぶ必要があると思います。

※昼下がりの某カフェにて。

小規模宅地の特例

小規模宅地の特例とは、

「住んでいたり貸していたりする土地がある場合、その土地を5割~8割引きしてあげますよ」

という制度です。

この制度は、ある程度、相続税実務をしている税理士であれば、基本的な知識は身につけています。
ですが、相続税実務をすればするほど、色々な疑問がわいてきます。

小規模宅地の特例は「申告」が要件です。
※「更正の請求」では適用できません。

そうなると一番怖いのが、「適用できないと思っていたが、実は適用できた」ということになります。
※適用できたと思って、実は適用できなかった場合は、修正申告すれば良く、あとは加算税を税理士が負担するかしないかだけの問題です。ですが、「適用できないと思っていたが実は適用できた」になりますと、更正の請求では救済されませんから、結構、致命的になるかもしれません。

ですから、「小規模宅地の特例」をきちんと理解しておく必要があります。
私は(自分で言うのもなんですが)相当慎重なので、ここ数年で出版されている小規模宅地の書籍を、ほぼ全て読んだと思います。
※全部は買い切れないので、大型書店で定期的に斜め読みし、内容の濃いと思う本だけを買うようにしています。

※購入した小規模宅地の書籍の一部。他にも多数ありますが。

そのなかで、実務家がまず読むべきなのが、次の本です。

こちらの書籍は、「制度の趣旨」から、小規模宅地を読み解いているので、大変分かりやすく、本当に「名著」だと思います。

小規模宅地の特例は、親子の居住形態、賃貸形態によっては、数百パターンにもなると思います。それらを全て覚えることは不可能ですから、著者の先生がおっしゃるとおり、制度の趣旨から理解するのが、一番いいんですね。

ちなみに、以前、著者の先生のセミナーに参加したことがあります。
セミナー最後にご質問させて頂きましたが、大変温和で優しい先生で、丁寧にお答え頂き、感激したことがあります(^^ )

※条文の読み方について突っ込んだご質問しても、丁寧に、かつ、完璧にお答え頂き、感謝でございます。

ただ、(小規模宅地の特例に限らず、どんな制度もそうですが)迷ったら、書籍だけでなく、最後に条文を確認することも必要です。
※小規模宅地の特例の条文は、租税特別措置法に書いてありますが(組織再編税制と違って)まだ読み解けるレベルの条文量です。

というわけで、小規模宅地の特例にも気をつけましょう。

遺産分割

上記を確認したら、後は、「遺産をどうやって分けるか」をアドバイスすることになります。

そのアドバイスは、できれば「相続発生前」にするとよいでしょう。
というのも、相続発生前であれば、色々な節税案を提案できるからです。
この本がオススメです。

この本の特徴は「過激な節税策ではなく、王道の節税策で事前対策をしましょう」ということにあります。

怪しげな節税コンサルタント?の相続税対策セミナーに参加すると、「これ、節税じゃなくて脱税じゃないか?ヤバイよヤバイよ~」というものがあります。

ですが、この本の著者の先生(関西で著名な先生です)は、正々堂々、あくまで「王道」の節税策を著書のなかで解説されていらっしゃいます。

内容的も細かな点を丁寧に解説頂き、

といった見落としがちな論点についても触れて頂いています。
この本もオススメです。

また、相続した自宅を売却する人もいるかもしれません。
そのため、相続税を計算する税理士は、譲渡所得(不動産の売却益にかかる税金)の知識も必要です。

こちらの本は絶版になっていて、発行から既に10年以上が経過しています。
ですが、この本は類書ではあまり見ない、

ということにも触れられています。

相続した自宅を、相続後すぐに売却する人も多いでしょうから、この本もオススメです。

ちなみにこの本。定価4,200円+税なのですが、私がアマゾンの中古で買ったときは2万円しました(^^)。というのも、どうしてもこの本が欲しかったからです。そのことを、著者の先生にセミナー参加時にお伝えしたら、先生、喜んでいらっしゃいました(^^)

※某日の上野駅にて。

分からないことは「素直な心で人に聞く」ことが大切

本を読んでも分からない事が出てきます。

そんなときは、自分よりも知識のある(またはありそうな)人に聞きにいくことをオススメします。

私の場合、セミナーに参加して一番最後に、講師の先生にお聞きしたりします。

税理士になってから、相当の回数、セミナーに参加しています。セミナーには、中身の濃いもの薄いもの、自分と相性が合う先生・合わない先生がいます。私なりに心掛けているセミナーの選び方、参加の心構えについて考えてみました。※参加した某セミナー会場の入口にて。税理士が良い実務セミナー・研修会に参加するためには?税理士は、定期的に実務セミナー・研修会に参加する必要があると思います。というのも、 毎年の税制改正があり、法律が頻繁に変更になる 税金以外の他の周辺知識(民法や不動産関連の法律)が必要となる上記の...
税理士が良いセミナー・良い講師に出会うためには? - 東京都中央区日本橋の税理士×ピアノ弾き語り

また、詳しそうな先生がいらっしゃったら、直接お会いしてお聞きすることもあります。

そのときに心掛けているのが

「素直な心で聞く」

ということです。

以前、「話し方教室」というものに参加しました。

「話し方教室」という教室があります。通ってから2年半が経過しました。通うまえ、通ったあと、どのように変わったのか、過去をふりかえってみました。※話し方教室での、ビデオ撮影練習にて。「話し方」は人生で必須のスキル仕事をする上で、また、人生を送っていく上で、話し方というのは大切です。 仕事でのプレゼン会議 セミナー講師 結婚式でのお祝いスピーチ色々な場面で、話し方は必要になります。話し方教室に行こうと思いついたのは、税理士の井ノ上先生の著書を拝読したからです。そこに「話し方教室に行かれた」というこ...
「話し方教室」に通うと、どうなるか? - 東京都中央区日本橋の税理士×ピアノ弾き語り

私がご指導頂いた先生は、60歳代前半の男性で、大手上場企業の役員を勤められているのですが、無給でその教室の先生をお勤めでいらっしゃいました。

そのなかで、先生にこう言われました。

「石橋さんは、本当に教えたことを素直に聞いてくれて、それを次回の授業で実践してくれる!講師冥利に尽きるよ~」

また、ピアノ弾き語り教室でも、同じようなことをおっしゃって頂きました。

ご家族以上に信頼される税理士を目指して
東京都中央区日本橋の税理士×ピアノ弾き語り - 東京都中央区日本橋の税理士×ピアノ弾き語り

ピアノ弾き語りの先生(50代女性の先生)からも、

「石橋さんは、毎回毎回、説明したことをそのまま実践してくれる。本当に素直な生徒さんだから、上達が早いのね」

いずれも「素直」というキーワードが出てきました。

年を取ると、

といった要素がどんどん膨らんできて、人の話しを「素直」に聞くことができなくなります。

あなたは「こんなこと、知ってるよ」や、「もうできるよ」という気持ちで、人の話を聞いていませんか?

ですが、「学べることは、どんどん吸収しよう」という気持ちで聞くと、やはり吸収が早いものです。

素直に学べないときは、「少し先(目的)」を見るといいのかもしれません。
私であれば、

ということになります。

それらの大義?のために、短い時間で最大限、吸収することが大切だと思っていますから、とことん「素直」になりましょう。

私が相続税を勉強するきっかけが、

「これからお客様に起こるであろう、数十億円の遺産規模の相続手続きを、きちんと終えるため」

ということでした。

その目的のために、色々な先生に「素直」な気持ちで、色々とお聞きしました。
そうすると、先生方もこちらが必死であるのをくみ取ってくださって、(セミナーが終わって早くお帰りになりたいのに)親切に何十分もご指導頂いた事もあります。

本を読むことも必要です。
ですが、それと同じくらい「素直な心」も大切です。

難しいと言われる相続税ですが、人生、一度きりです。
※私もまだまだですが(^^)/
ぜひ、頑張って、勉強してみてください!

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