税理士同士、またはお客様と、たまに、美味しいものを食べる機会があります。
そんなとき、店内から、色々な愚痴(グチ)が聞こえてくることがあります。
みなさん、色々と抱えていらっしゃいます。
※西荻窪の某ふぐ屋さんにて。
立場によってグチは変わる
我々人間は、ストレス・悩みを抱えながら生きています。
それらを解消・解決するための一手段として、愚痴を聞いてもらう、ということが挙げられます。
私の仕事場は日本橋茅場町です。
茅場町といえば、立地的には、兜町(証券会社が集まっているところです)の隣で、大小、様々な会社が集まっています。
そんな場所ですので、夕方から夜にかけて、茅場町の居酒屋さんは、どこも満席です。
※美味しくない店は、結構空いておりますが・・・(^^)
私は、大きな仕事が終わったときや、繁忙期が終わって一息ついたとき、1人で居酒屋さんや小料理屋さんに入ることがあります。
※ドラマ「相棒」に出てくる、いなせな女将さんがいる小料理屋に行きたいところではありますが、あいにく、茅場町にそのようなお店がないのと、予算的な関係で、もっと地味な安いお店に行っております・・・。
1人で食事しているとき、私は、溜まった税務雑誌をまとめ読みすることにしています。
そんなとき、店内から、サラリーマンの色々な愚痴が聞こえてきます。
私が(勝手にですが)グチを分類すると、次のようなものになるでしょうか。
1.サラリーマンのグチ
サラリーマンのグチですと、上司批判型のグチと、オレはビッグになる的なグチの、2つに分けることができると思います。
(1)上司批判型のグチ
A社員
「鈴木部長は、我々の気持ちを分かってないんだよ!もっと、現場を分かってもらわないと!」
B社員
「そうだ!Aさんのいうとおりだ。明日、我々で、部長に直談判しにいこう!」
C社員
「いま、Bさんはいいこと言った!そうだ、我々で、部長に直談判だ!」
まあ・・・
実際は、部長に直談判に行ったりはしないんですが・・・。
盛り上がっている隣で、私は、カウンターで日本酒をチビチビやりながら、税務雑誌を読みふけっております(^^)/
※お店の女性店員さんからは「食事中もお仕事ですか?」と声を掛けられます。ちょっと白い目で?見られているのかもしれません。
どの会社に勤めても、この種類のグチはなくならないでしょう
会社は「個の力」ではなく「組織の力」で動きます。
そして、組織は、必ず「統率すること」が求められます。
組織の代表例は軍隊です。
軍隊は、厳しい上下関係を儲け、かつ、細かな上下関係(大将から二等兵まで)を設定します。
それは、個人個人が勝手な行動をしないように、監視する意味があります。
※軍隊にいる個人個人が、勝手に行動したら、略奪等をしかねませんので。
会社も同じです。
※軍隊ほどではありませんが。
個人個人が「こうすれば現場が上手く回るだろう」や、「こうすればもっと売上が上がるだろう」として、勝手な行動を始めたら、他の部署も困ります。
ですので、この種類のグチは、組織に属している限り、宿命であり、避けられないものでもあります。
私の個人的な考え方ですが、この種類のグチは、どんどん言って発散した方がいいと思います。
誰かに悩みを伝え、共感し、心配してもらう。
これは、人生を送る上で、必要な潤滑油のようなものだと思います。
(2)オレはビッグになる的なグチ
居酒屋では「オレは独立して、絶対成功してやる!」的なグチも聞こえてきます。
A社員(若手)
「オレは、3年後には退社して独立してやりますよ!独立して最低でも年収1千万、さらに数年後には、今の会社以上に大きくしてみます。それが夢なんですよ!」
B社員(先輩)
「ただなあ~。こんな時代だから、すぐに辞めるなんて、言わない方がいいんじゃないか?とりあえず、10年は頑張ってみないか?」
この手のグチも結構、聞こえてきます(-_-)
私は、こんなことは、気軽に言わない方がいいと思います。
大手税理士法人のトップの税理士先生が、あるインタビューでこんなことをおっしゃったそうです。
インタビュアーが、最初から組織を大きくすることを意識していたか?と質問したら、次のようなお答えをされたと、私は記憶しています。
「コツコツ、下積みしながらやることですよ。居酒屋で、オレは絶対に成功する、と言っている人で大きくなった人なんていないもん。」
これは、どんな業種の方にもあてはまる名言だと思います。
本当に成功する人は、毎日コツコツ、見えないところで努力されてます。
そして、本当に努力する人は、「自分は努力している」と他人に言いません。
「ビッグ?になる」と宣言している時間があれば、成功するための努力をすればいいと思います。
ビッグ?になるというグチ?は、少なくとも居酒屋さんでは、言わない方がいいと、個人的には思っています。
※ふぐ屋さんで、ふぐの唐揚げを食しました。小ぶりで上品なのが、チェーン店と違って、いいですね!
2.税理士のグチ
これに対して、税理士のグチはどんなものでしょうか?
税理士といっても、「税理士事務所に勤務している税理士」と「開業している税理士」とでは、グチの種類が違います。
(1)勤務している税理士のグチ
勤務している税理士のグチは、基本的には、サラリーマンのグチと同じようなものになります。
- 自分が勤めている組織への批判
「**部長は我々の気持ちを分かってくれない!」 - お給料への批判
「何で、こんなに安いんだよ~。いくら修行中の身とは言え、時給換算すると、マック以下だよ~」 - 所長先生個人への批判
「**所長は、全然、税務が分かってないんだよ!オレの方が勉強しているから、今度、所長に、あの処理は間違っていると、直談判するよ!」
まあ、勤務している税理士のグチは、こんな感じになるでしょうか。
私自身、勤務している時代は、はっきり言って、こんなものではないくらい、グチばっかり言っておりました(>_<)
勤務税理士の一番大きな悩みは、
「資格をとったからには、いつかは独立したいけど、生活も不安だし、とりあえず、もう暫くは勤務するか」
というものです。
独立すれば、今の不満は解消するのですが、そうすると、下記のような、新たな不満(グチ)が発生してしまいます(>_<)
(2)開業している税理士のグチ
税理士のグチは、開業した後も続きます(^^ )
- お客様へのグチ
「顧問先の**さんは、資料が遅くてまいっちゃうよね」 - 事務所運営のグチ
「今月は、売上が少なかったな~。もっと営業を頑張らないといけないなぁ」 - 従業員さんへのグチ
「事務員の**さんは、本当に要領が悪くて、いやになっちゃうよ」 - 仕事の責任に対するグチ
「あの仕事、税金がもの凄く大きくて、もの凄く難しい仕事だよね。失敗したらどうしよう・・・」
開業すると、グチの内容が「組織内部」に対するものから、「組織外部」に対するものへと変わります。
当然ですよね。自分自身が「組織」の中心になるわけですから。
特に、税理士の仕事の特殊性として、
「数字で全てを判断する」
というところにあります。
ある弁護士先生から言われました。
「石橋先生みたいな税理士先生は大変だよね~。ミスも数字(金額)で分かっちゃうから。僕ら(弁護士)の仕事は、ミスしても、それがどれくらいの損害なのか、数値化できない部分があるから、なんとなく、ごまかせちゃう部分があるんだよね」
おっしゃるとおり、税理士はミスすると、ミスした金額(損害額)がすぐに算定できてしまいます。
この特殊で、責任感ある仕事内容も、グチがたまる原因になります。
グチの内容で立場・人生観が分かる
グチは、その人の立場、人生観、性格を端的に表すものです。
責任感ある人であれば、
「**商事への取引、失敗しないか心配です。」
と、まずは心配から入りますし、
逆に、楽天的な性格の人であれば、
「あの仕事、最後の引渡しの日程まで詰めてないけど、まあ、なりゆきで何とかなるだろ~」
と、聞いているこっちが、「大丈夫か?」と疑う人もいらっしゃいます(^^)/
税理士は、お客様の悩みをお聞きする機会が多いため、居酒屋でのグチを分析する能力に長けて?いるかもしれません。
解決できるグチ、解決できないグチというものがあります。
もし、そのグチの内容が解決できるものであるなら、グチを言わなくていいように、全力で対応すべきです。
組織に対する不満であれば転職や独立で、家族に対するグチであれば話し合いで。
解決できないグチであれば、様子を見る(=時間を置く)というのも、1つの手です。
私自身、解決したくてもできない問題(お客様の状況によって現時点では解決しようがない問題)は、時間をおくことにしています。
※待っている時間は、とても長く感じます。ですが、実際に数年間待ってみて、解決した問題も多いものです。
とりとめのない話しになってしまいましたが、1人で居酒屋に入ると、色々なグチを聞けて、自分の立場・考え方を整理する、良い機会になります。
みなさんも、たまには1人で居酒屋に入って、他の人のグチに聞き耳を立ててみるのも、いいかもしれませんよ。